20日後に見つかった孤独死の部屋
<まつりぬし>にしか出来なかった遺品整理 その4
ご遺族より、正式に遺品整理のご依頼を受け、現地に赴きました。
夏の炎天下に孤独死され、二十日間ご遺体が放置されていた部屋の遺品整理は、これが初めてでした。四階建てのアパートの2階が故人の部屋です。
アパートの前に立つだけで、鼻を突く腐敗臭が放っていました。
部屋に入った私たちは、この惨状に驚愕するのでした。
同行した特殊洗浄業者が、直ちに殺菌消毒並びに除菌・消臭を施さないと、遺品整理は困難ですよ、と言われ、五日間に及ぶ作業の後、遺品整理に入りました。
マツリヌシとして、故人の『命の書』への登録は元より、注意事項等を入念に打合せし、『守護札』を携帯して、部屋の扉にイコンシールを貼り入場しました。
私を含め、四名のマツリヌシによる遺品整理?ならぬ生活ごみの分別回収から取り掛る始末です。分別品は見る見るうちに軽トラック2台分をいっぱいにしました。
事前に連絡してあった応援要員(特殊洗浄業者)が加わるのを待つこともなく、一旦現場を離れ、ごみ収集場に向かいました。
作業も捗ると思うや否や、収集場から帰ってきた私の目の前には、応援要員の3名が緊急避難?その内の1名はマツリヌシにより介抱されている有様でした。その様子を見兼ねたご近所様からは冷たい飲み物と、日陰の場所を用意していただいたので、一旦休憩を入れることにしました。
その後、生活ごみの搬出を終え、ようやく導線も確保され遺品の持ち出しが可能になりました。七割片、片付けが完了したこところで初日の作業を終えました。所要4時間を費やしました。
翌日は、約3時間程で作業を終了しました。三日目に総仕上げをして、最後に故人が絶命した場所の拭き上げをし、その場所をSEKI塩で清め、手を合わせ『○○様が光に導かれますように』と祈りを捧げ、部屋を後にしました。
この度の遺品整理では、入念な打合せをして挑んだにもかかわらず、私の不徳の致すところにより、3名に危害が及んだことを猛省いたしました。それは『守護札』を渡すのを忘れていたことが原因でした。
現代の風潮において、孤独死とは、他人事ではないことを痛感しました。
一人死時代の終活サポートは急務です。それも業務の一端として邁進するのもマツリヌの役割であり、志事なのです。